リベルサスが市場に出てくるまで、様々な臨床試験が行われました。
今回は、糖尿病患者に対する治療薬として開発されたセマグルチド(オゼンピックとリベルサスの主要成分)に関する研究をかなりざっくりまとめていきましょう。
SUSTAINシリーズ (Semaglutide Unabated Sustainability in Treatment of Type 2 Diabetes)
成人2型糖尿病患者を対象としてオゼンピックを投与した場合と、既存の糖尿病薬やプラセボを投与した場合でHbA1c(糖尿病の数値)の低下率と体重の減少率を比較した研究です。
既存の糖尿病薬としてメディカルダイエットを行なっている人に馴染みが深そうな薬をあげると、カナグル、ジャヌビア、トルリシティ、ビクトゥーザ等の薬剤と1対1で真っ向から戦った研究結果をまとめた長編シリーズになります。
以下、簡単にまとめてみました。
シリーズ研究内容結果その他SUSTAIN1セマグルチド1.0mg vs プラセボ(オゼンピック)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かった有害事象の多くは軽度から中等度で、悪心が一番多かった
重症低血糖の発症はなかったSUSTAIN2セマグルチド1.0mg vs シタグリプチン
(オゼンピック) vs (ジャヌビア)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かった有害事象の多くは悪心や下痢だった
両群で低血糖が1-2%見られたSUSTAIN3セマグルチド1.0mg vs エキセナチド2.0mg
(オゼンピック) vs (ビデュリオン)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かった消化管の有害事象が対象群よりも多かったSUSTAIN4コントロール不良の糖尿病患者の比較研究
セマグルチド1.0mg vs グラルギン
(オゼンピック)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かった低血糖の有害事象はグラルギン群で有意に多かった
有害事象の多くは悪心が多かったSUSTAIN5インスリン投与中患者の比較研究
セマグルチド1.0mg vs プラセボ
(オゼンピック)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが圧倒的に有意に高かった対照群と比較して低血糖の発生が有意に多かった
有害事象の多くは消化管障害だったSUSTAIN6HbA1cや体重減少に関する研究ではないため割愛SUSTAIN7コントロール不良の糖尿病患者の比較研究
セマグルチド1.0mg vs デュラグルチド0.5mg,0.75mg (オゼンピック) vs (トルリシティ)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かった頻度の高い有害事象は消化管障害だったSUSTAIN8コントロール不良の糖尿病患者の比較研究
セマグルチド1.0mg vs カナグリフロジン
(オゼンピック) vs (カナグル)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かった最も多い有害事象は消化管疾患で、そのうち悪心が一番多かったSUSTAIN9SGLT2阻害薬投与中患者の比較研究
セマグルチド1.0mg vs プラセボ
(オゼンピック)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが圧倒的に有意に高かった高血圧の改善や脂質異常症の改善が見られた
対照群と比較して消化管障害の有害事象が多かったSUSTAIN10セマグルチド1.0mg vs リラグルチド1.2mg
(オゼンピック) vs (ビクトゥーザ)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かった対照群と比較して消化管の有害事象が多かった
結果は全てオゼンピックの勝利となっています。
HbA1c低下、体重減少のいずれにおいても既存の糖尿病薬やプラセボよりオゼンピックが有意に作用すると示されたのです。
オゼンピックが糖尿病患者に対して血糖コントロールと体重減少の点で有効であることがわかりました。そうなると、今度はリベルサスの効果はどうなのか気になりますよね。
PIONEERシリーズ
成人2型糖尿病患者を対象としたリベルサスを投与した場合と、既存の糖尿病薬やプラセボを投与した場合でHbA1c(糖尿病の数値)の低下率と体重の減少率を比較した研究です。
こちらも簡単にまとめてみました。
シリーズ研究内容結果その他PIONEER1経口セマグルチド(3mg,7mg,14mg) vs プラセボ(リベルサス)いずれの用量でも有意にHbA1cの低下を認めた
7mg,14mgで有意に体重減少を認めた対照群と比較して軽度から中等度の一過性の消化管イベントが多かった(嘔気、下痢など)PIONEER2コントロール不良の糖尿病患者の比較研究
経口セマグルチド14mg(漸増) vs エンパグリフロジン
(リベルサス) vs (ジャディアンス)有意にHbA1cの低下を認めた
長期投与(52週後)で有意に体重減少を認めた対照群と比較して消化管の有害事象が多かったPIONEER3メトホルミン投与中患者の比較研究
経口セマグルチド(3mg,7mg,14mg) vs シタグリプチン
(リベルサス) vs (ジャヌビア)7mg,14mgで有意にHbA1cの低下を認めた
7mg,14mgで有意に体重減少を認めた
長期投与(78週後)では3mg群でも有意に体重減少を認めたPIONEER4メトホルミン投与中患者の比較研究
経口セマグルチド14mg(漸増) vs リラグルチド1.8mg
(リベルサス) vs (ビクトゥーザ)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かったプラセボ群と比較して消化管の有害事象が多かったPIONEER5腎機能障害がある患者の比較研究
経口セマグルチド vs プラセボ
(リベルサス)HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かった対照群と比較して軽度から中等度の消化管イベント(主に嘔気)が多かったPIONEER6心血管リスクが高い患者の比較研究
経口セマグルチド vs プラセボ
(リベルサス) 心血管死・全死亡は有意に低下した
HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かったプラセボ群と比較して消化管の有害事象が多かったPIONEER7コントロール不良の糖尿病患者の比較研究
経口セマグルチド14mg(漸増) vs シタグリプチン100mg
(リベルサス) vs (ジャヌビア) HbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かった嘔気が最も多い有害事象であったPIONEER8インスリン投与中でコントロール不良の糖尿患者の比較研究
経口セマグルチド(3mg,7mg,14mg) vs プラセボ
(リベルサス)いずれの用量でもHbA1c低下率と体重減少率のいずれもセマグルチドが有意に高かったプラセボ群と比較して軽度から中等度の有害事象(吐気が最多)が多かったPIONEER9日本人患者の比較研究
経口セマグルチド(3mg,7mg,14mg) vs リラグルチド0.9mg
(リベルサス) vs (ビクトゥーザ) 用量依存的にHbA1cの低下を認めた
HbA1c低下効果に有意差はほとんどなかった
14mg群で有意に体重減少を認めた有害事象で軽度から中等度の消化管イベントがリラグルチド群で最も多かった
セマグルチド群も便秘が最多であったPIONEER10日本人患者の比較研究
経口セマグルチド(3mg,7mg,14mg) vs デュラグルチド0.75mg
(リベルサス) (トルリシティ)長期投与で14mg群で有意にHbA1cが低下した
長期投与で有意に7mg14mg群で体重減少を認めたセマグルチド群では用量依存的に有害事象が増加した
消化管イベントは継承かつ一過性の便秘と嘔気が最多だった
ほとんどの試験でHbA1c低下、体重減少のいずれにおいても既存の糖尿病薬やプラセボよりリベルサスが劣らず、むしろ有意に作用することが示されました。リベルサスは用量依存的に作用するので、7mg,14mgでは特に有意に効果が認められたようです。
また、ほとんど全ての研究でセマグルチドの有害事象として嘔気や便秘症状が挙げられました。いずれも軽度から中等度の胃腸障害と判断されていて、長期的に内服することで症状は軽減することもわかっています。
(副作用についてはこちらのページで解説します ⇨リベルサスの副作用、吐気の対処法)
とりあえず、ここまでの研究結果から糖尿病患者に対してセマグルチドがかなり有効だという結果となりました。では、糖尿病を持たない患者に対する安全性は確保されているのでしょうか?
次回は糖尿病患者でない肥満患者に対する研究を紹介します。
⇨結局GLP1ダイエットって危険なの?④(健康な人が飲んだら…編)
SUSTAINシリーズ、PIONEERシリーズの原文はこちらから
医薬品に関して
国内承認薬ですが本国では現在適応外使用となります。
こちらでご紹介している薬剤はいずれも全て国内正規卸より流通している正規品です。
アメリカでは既に肥満症薬と使用されており、後述の副作用説明記事にも記載の通り、副作用やリスクには個人差があります。
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結局GLP1ダイエットって危険なの?②(リベルサス誕生秘話編)
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結局GLP1ダイエットって危険なの?④(健康な人が飲んだら…編)
・参考 読み物
リベルサスの副作用 吐き気の対処法
リベルサスが効かない時(リベルサスの効果的な服用方法)
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。効果・副作用には個人差があり、診断・治療は医師の診察に基づきます。気になる症状はLINEで医師にご相談ください。